お遍路の服装は自由?やってはいけないことと真言宗の十善戒の意味

お遍路 弘法大師・空海

四国のお遍路さんといえば、あの有名な白い衣装ですよね。

昔は四国4県の全周約1400kmの道のりを歩く、まさに命がけの旅でした。

しかし今は命をかけなくても、四国八十八ケ所のお寺を巡ることができるようになり、お遍路さんのスタイルも様々に変化してきています。

近年は神社や御朱印、パワースポット、スピリチュアルに興味のある人が増え、若い年齢の人たちの間でもお遍路が注目されていたりします。

お遍路をする時の服装は自由で良いとも言われていますが、それは本当でしょうか?

また、お遍路の旅はそのスタイルは様々に変化してきたとはいえ、普通の旅行とは違うため、お遍路としてやってはいけないことや、守るべきマナーがいくつかあります。

お遍路で巡礼する時の服装と、やってはいけないことについてお伝えしていきます。

また、弘法大師が開いた真言宗では十善戒と呼ばれる、お遍路中に常に心にとめておきたいことがあります。

真言宗で伝えられる、十善戒についてもお伝えしていきたいと思います。

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お遍路さんの服装が自由って本当?

お遍路さんといえば、白い衣装に菅笠(すげがさ)のイメージですよね。

でも今はお遍路のやり方も、昔ながらの歩き遍路だけではなく様々なものがあります。

車で巡る車遍路や、スケジュールや食事、宿泊先を全ておまかせできる少人数でのタクシー遍路自転車遍路と様々です。

その中から自分の体力やスケジュール、かけられる金額などに合わせて自分で選択することができます。

服装に関しても、お遍路の昔ながらの参拝の服装というものはありますが、こうでなくてはならないという決まりはありません。

現代のお遍路さんはジーパンにスニーカー、帽子という格好の人もいますし実に様々です。

ですが、上だけでも白衣をまとい、菅笠をかぶり、金剛杖を手にすると、自然と気持ちが引き締まり、普通の格好で行くのとは大きな違いがあります。

また、一目でお遍路さんと分かるような姿で歩いていると、地元の方に道を教えてもらえたり、お遍路さん同士で声を掛け合い交流ができたりと、お遍路をより深く感じられます。

札所の寺院や周辺の住民は、遍路者のことをただの観光客ではなく修行者として見ています。

そのような理由から、是非いくつかのお遍路支度は用意されることをおすすめします。

基本的な服装

お遍路の基本的な服装には、次のようなものがありあります。

●白衣(はくえ)

昔は命がけの旅だったため、険しいお遍路の道中でいつ亡くなってもいいようにという、死装束の意味がありました。

背中には「南無大師遍照金剛」「同行二人」と書かれています。

本格的な格好の場合は、白衣の中も含めて白装束を着ますが、今は洋服の上から白衣を着ることが多くなっています。

●輪袈裟(わげさ)

お経を唱える時の最低限の法衣で、お坊さんの袈裟を簡略化した首からかけるものになります。

霊場巡拝において正装であることを表し、元々お遍路を巡る時には法衣を着るものとされていたので、参拝の作法として身につけるべきものと言われることもあります。

白衣は着用しないけれど、輪袈裟だけはつけるという人もいます。

お手洗いや食事の時などは外すのがマナーです。

お遍路終了後には葬儀やお寺参り、普段の仏壇でのお勤めなどに使用することもできます。

四国霊場八十八ケ所用などもありますが、通販や専門店だと柄が豊富にあり、基本的には自分の好きなものを選んで大丈夫です。

●金剛杖(こんごうづえ)

山道の歩きにくいところで手助けになる杖ですが、そのような実用的な意味とは別の意味があります。

お遍路において金剛杖は「お大師様の分身」と言われていて、杖を持ってお遍路をすることは弘法大師と共にお遍路をしている、という意味があります。

また、金剛杖のカバーを外すと卒塔婆のような形をしています。

厳しい遍路の道中で亡くなった時のために、金剛杖をお墓として持ち歩いてるということです。

金剛杖は弘法大師の分身として大切に扱い、休憩する時には自分より先に休めます。

●菅笠(すげがさ)

巡拝中の日差しや雨を防ぐために被ります。

弘法大師を表す梵字と「同行二人」が墨書きされています。

笠をかぶったまま礼拝し、お堂の中でも笠は取らなくても大丈夫です。

その他に必要な道具

服装の他に、お遍路には必要な道具がいくつかあります。

●念珠(数珠)

お遍路は真言宗ですが、信仰心の有無や宗派を気にする必要はないと言われています。

自分が持っている数珠を持参して大丈夫ですが、お遍路では真言宗の数珠を持参する人も多いです。

●経本

般若心経・御本尊真言・光明真言・十三仏真言などが書かれています。

●納経帳(のうきょうちょう)

四国八十八ヶ所霊場専用の御朱印帳を、納経帳といいます。

各札所で礼拝・納経を終えた後、納経所でご宝印(黒書・朱印)をいただきます。

●納札(おさめふだ)

各札所の本堂と大師堂の2カ所の納札箱に納めるお札で、お寺を参拝した証に収めます。

また、「お接待」を受けたときに渡すお札になります。

お遍路を巡った回数によってお札の色が変わり、1回目は白いお札になります。

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「お接待」についてはこちらをお読みください。

●ろうそく・線香・着火具

ここまでがお遍路で最低限必要な必需品になります。

次からは必需品ではありませんが、お遍路でよく使われる物になります。

販売を行っている札所もあるので、巡拝途中でも購入することができます。

●山谷袋(さんやぶくろ)

経本や納経帳など、巡拝に必要なものを入れるための肩掛けの袋で、頭陀袋(ずだぶくろ)ともいいます。

山谷袋を用意せずに普段のかばんでも構いませんが、多少の雨でも大丈夫なように撥水加工されていたり、線香とローソクが取り出しやすい作りになっているものもあります。

区切り打ち(八十八ヵ所の霊場を一度に回りきらずに何回かに分けて巡ること)の時には、そのまま山谷袋に入れてお遍路に必要な物を保管できるので便利です。

●金剛鈴・持鈴(じれい)

仏さまを美しい音色でもてなします。

お遍路のやってはいけないこと

お遍路

現代のお遍路は、そのやり方や服装も自分に合ったスタイルを選ぶことができます。

しかし、昔から伝わるやってはいけないとされていることや、お遍路をする上でのマナーというものがあります。

それらをしっかりと理解した上でお遍路にのぞみましょう。

やってはいけないこと

●昔、弘法大師は巡礼中に、橋の下で野宿をしたと言い伝えられています。

高野山では弘法大師の魂は今でも修行を続けているとされ、橋の下でお大師さまが休んでいるかもしれないと考えられているため、橋の上では金剛杖をつかないようにします。

●神社では手を叩いて参拝しますが、お寺では手を合わせることに意味があり、手は叩きません。

手を合わせる合掌の行為には、右手が仏様、左手が自分を表しており、両手を合わせることで仏様と一つになるという意味があります。

●鐘を鳴らすのは訪れた合図になります。

鐘を突いて良いタイミングは、参拝した後ではなく参拝前になります。

寺院を出る際に突く鐘は「出鐘」「戻り鐘」といって、これは葬儀で出棺を行う際に鳴らす死者に送る鐘、現在で言えば葬儀場から火葬場に出発する際に自動車のクラクションを鳴らすのと同じ意味です。

また 「出る鐘」から「出金」といわれ、お金を失うことに繋がるともいわれます。

縁起の良い物ではないためこれらは避けます。

もし参拝後に鐘をついてしまった時は、最初からお参りをし直し、もう一度線香をあげ読経を行えば問題ありません。

参拝前につく鐘はその音色を仏様に届けるものなので、大きい音を出せば良いというわけではなく、心地よい音を奏でるようにします。

心がけたいマナー

その他に、お遍路として心がけたいマナーがあります。

それは、巡礼する各お寺は、地元の方々の大切なお寺でもあるということです。

四国の方はお遍路する人々を温かく迎え入れてくれているので、地元の方々にも感謝の気持ちをもってのぞみましょう。

遍路者専用の施設などもありますが、お遍路は巡礼の旅であることを認識した上で利用させていいただきます。

また、お遍路さん同士がすれ違う時には、挨拶をするということもマナーの1つです。

人と人とのかかわりを大切にし、助け合いの精神で行動しましょう。

お遍路の旅では礼儀やマナーを守り、心を落ち着かせてのぞみたいものですが、それ以外にも常に心にとめておきたい真言宗の十善戒というものがあります。

次にこの十善戒についてお伝えしていきます。

真言宗で伝えられる十善戒の意味とは?

弘法大師の像

真言宗で伝えられる十善戒とは次のようなものになります。

<十善戒>

1、不殺生(ふせっしょう)…生きているもの、すべての命を大切にする。
2、不偸盗(ふちゅうとう)…物を盗まず、大切に扱う。
3、不邪淫(ふじゃいん) …性は尊いものであり、節度をもって大切にする。
4、不妄語(ふもうご)  …うそ、偽りはいわず、真実を話す。
5、不綺語(ふきご)   …大げさに話さず、飾らないことばで話す。
6、不悪口(ふあっく)  …悪口は言わず、相手を思いやることばで話す。
7、不両舌(ふりょうぜつ)…どの人に対しても二枚舌を使わず、温かな気持ちで話す。
8、不慳貧(ふけんどん) …強欲にならず、感謝の気持ちをもつ。
9、不瞋恚(ふしんに)  …怒りをおさえ、心を落ち着けて穏やかな気持ちで過ごす。
10、不邪見(ふじゃけん) …邪な間違った考えを捨て、人として生きる。
お遍路をしている時はもちろんですが、それ以外の時にもこの教えを心がけていきたいですね。

まとめ

弘法大師の時代から続く巡礼の旅、お遍路も時代に合わせてその形は変化してきました。

しかし、そんな中にもいつの時代にも人々が大切に受け継いできたものがあります。

それを理解し、人々との触れ合いや感謝の心を大切にして参拝したいですね。

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れっきー

子育てライフカウンセラー・保育士として個別相談や情報発信を行ったり、宮城県で子育てサロンを運営しています。

19年の公立保育所勤務経験があります。

小さい頃から、不思議なことが当たり前に起こるような家庭環境で育ちました。

そのため「目には見えない世界が絶対ある!」と、見えない世界のことを探求する人生になりました。

男の子兄弟、二児の母です。

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