秋の紅葉の季節になると、各地の神社は華やかな七五三の家族でにぎわいますね。
七五三と言えば千歳飴ですが、なぜ千歳飴なのかわかりますか?
それにはもちろん由来があるんです。
由来を知ると、ますます日本の伝統的な行事が趣深く見えてきますよ。
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七五三の千歳飴の意味
七五三の元となる儀式は、平安時代からあったとされています。
でも千歳飴の歴史はそれほど古いものではなくて、江戸時代に始まったものです。
医療の発達していない当時は、生まれたての赤ちゃんや子どもの死亡率は高く、わが子の健康や長寿を願う気持ちは、今以上に切実なものでした。
「無事に育って長生きをして欲しい」そんな願いから生まれたのが千歳飴で、子供に対する長寿の願いが込められています。
そのために、千歳飴は粘り強く細く長い形状で、縁起の良い紅白の飴となっています。
千歳飴の細長い形は、直径15mm以内、長さ1m以内と決められています。
千歳飴の発祥
千歳飴は、江戸時代の浅草・浅草寺が発祥だといわれています。
細長い棒状の飴を、縁起のよい紅白に染め、長い袋に『千年飴(せんねんあめ)』と書いて売り出したところ、子を思う親の心をつかみ、瞬く間に評判になりました。
七五三祝いの飴の袋に「千歳飴」と書かれているのは、この「千年飴」に由来するといわれています。
「千年・千歳」とは、「鶴は千年、亀は万年」という長寿の象徴として、縁起が良いとされている言葉です。
でも誰が一番最初に作ったかは、2つ説があります。
一つ目の説
まず1つ目は、元禄のころ、浅草の七兵衛という飴売りが、浅草寺の境内で『千年飴』として売り出したという説。
これは江戸時代後期の戯作者・柳亭種彦が、『還魂紙料』という考証随筆の中でも述べています。
「七兵衛という飴売りが千年飴、寿命糖ともいう飴を浅草で売り出したのが千歳飴(せんざいあめ)の起こり」としています。
二つ目の説
もう1つの説は、大阪の『平野屋』という商人が、元禄の頃に江戸に出て来て、浅草寺境内で『千歳飴(せんざいあめ)』を売り出したという説。
「長い長い千歳飴を食べれば千年もの長寿になる」と謳い、人気を博したと言われています。
こうして売り出された『千年飴』『千歳飴』は、七五三のお参りの定番土産として、江戸庶民に広まっていきました。
当時、砂糖は大変貴重なもので、現在のように甘いものが安易には手に入らない時代でした。
ですから、甘い飴は子どもだけではなく、大人にも喜ばれる、何より嬉しいお土産だったのです。
また、お土産としてだけではなく、七五三のお祝いのお返しとしても使われました。
さらに、地方によっては『お福分け』として、歳の数だけ千歳飴を袋に入れて、親戚やご近所に配る風習もあります。
千歳飴の袋の絵柄について
千歳飴の袋の絵柄にも意味があり、松竹梅や鶴亀などが描かれています。
鶴と亀は長生きのシンボルであり縁起物。
松は一年を通して新しい葉が生えてくる常緑樹として、昔から神が宿ると言われ「不老長寿」のシンボル。
竹は松と同様の常緑樹であり、まっすぐにたくましく伸びる姿から「子孫繁栄」のシンボル。
梅は寒い冬の時期を耐えぬき、真っ先に美しい花が咲くことから「生命力」のシンボル。
千歳飴の絵柄には、たくさんの願いや思いが込められているのですね。
七五三の千歳飴はどこで手に入れるの?
素敵な袋に入った千歳飴は、七五三には欠かせないものですね。
当日、写真を撮ったり神社にお参りに行ったりする時に、千歳飴は自分で用意して持っていった方がいいのでしょうか?
写真館の場合
七五三の千歳飴は、写真館での撮影なら、小道具の1つとして用意されていることが多いです。
写真用に千歳飴の袋だけのこともあり、撮影後に本物の千歳飴がもらえるかどうかは、写真館によります。
「千歳飴をプレゼント」などと言われている場合はもらえますが、特に説明がなければ、撮影時の小道具として借りるだけということもあります。
わからない場合は、早めに写真館に問い合わせてみるといいですね。
神社の場合
神社の場合、祈祷をしてもらうと授与品としてもらえることがあります。
我が家も神社でいただきました。
神社でもらえる千歳飴は、神社で祈祷を受けた千歳飴です。
ありがたいですね。
一方、祈祷を申し込まずにお参りだけの場合は、千歳飴はもらえないことがほとんどです。
七五三の祈祷やお参りで千歳飴がもらえるかどうかは、各神社によって違います。
気になる場合は、事前に神社に問い合わせておくと安心ですね。
七五三の期間に、千歳飴を販売している神社もあります。
大きな神社では、お守りや破魔矢などと一緒に、千歳飴を販売しているところもたくさんあるようです。
値段は、お店で買うより割高なこともありますが、神社の社務所で売られているものは、ご祈祷をうけた千歳飴です。
祈祷を受けない場合でも、千歳飴だけ購入することもできますね。
一方、参道の屋台などで売られているようなものは、祈祷を受けていない普通の千歳飴です。
それ以外の購入方法
千歳飴は、七五三のシーズンになるとスーパーやデパート、コンビニ、お菓子屋さん、和菓子さんなど、お菓子を扱うところで広く売られています。
不二家やサンリオショップなどでも売られます。
一本売りから、袋に入ったものまでありますので、お好みで選んでくださいね。
味もイチゴ味やメロン、バナナなどいろいろな味があったり、色もピンクや黄緑、黄色などカラフルな物もあります。
また伝統的な水飴の千歳飴ではなくて、食べやすいようにソフトキャンディになっているものもあります。
本来なら千歳飴は、袋の長い状態ですが、レンタル衣装を汚さないように、飴が短くなっていることもあります。
まだ背が小さい子が持つと地面について曲がってしまうので、ハンドバッグのようなミニサイズのものも売られています。
老舗のお菓子屋さんなどでは、千歳飴を一旦神社に奉納して、祈祷してもらってから売っていることもあります。
しきたりにこだわって選ぶなら、格式のある和菓子屋さんで探してみるのもいいですね。
千歳飴は子供が食べるだけでなく、七五三のお祝い返しとして、身内や知人に配る地域もあるので、最近では、ネットでもいろいろな千歳飴が手に入ります。
ネットなら時期に関係なく買えますし、まとめて購入したい場合や、こだわりの千歳飴を手に入れたい場合は、お取り寄せしてみてもいいですね。
また最近では普通の千歳飴とは違って、袋が布地で作られているおしゃれな物もあって、兄弟の次の七五三の時でも、飴だけ購入して入れれば、また使えるようになっている物もあります。
神社でお祓いをしていなくても、形としての千歳飴で充分という方は、いろいろな選択肢があるので、好きなところで気に入った物を購入すると良いですね。
七五三の千歳飴の食べ方はあるの?
千歳飴は縁起物であり、その食べ方にも諸説ありますが、食べ方に特別な決まりはありません。
縁起物で、なおかつ長いことに意味がある物であるという理由から、折ったり割ったりするのは縁起が悪いのではと心配される方もいます。
ですが、千歳飴の始まりの江戸時代には、長い千歳飴を「縁起を分ける」「お福分け」のために親戚やご近所に配り、分け合って食べていたので、折ってはいけないということはありません。
最近は短めのものも多くなりましたが、それでも袋に入っている千歳飴は、20cmくらいはあります。
子供はなめきれないですし、小さい子が長い飴を口にくわえるのは、転んだ時など危ないですよね。
途中までなめた物をとっておくのも、衛生的に良くはないので、食べやすい大きさに小さくするのが良いかと思います。
小さく切って食べる
千歳飴は意外と固いため、包丁で切るのは難しいです。
キッチンバサミで切ることもできますが、かなり力が必要です。
千歳飴を袋に入れたまま包丁の背か、すりこぎ棒やのし棒などで、叩いて割るのが手早い方法です。
割る前に、キッチンバサミで少し切れ目を入れておき、切れ目を目印に叩くと、大きさも調整できていいですね。
その際は、切り口がとがっている物もあるので、小さい子には気を付けてくださいね。
千歳飴を小さくしたら、タッパーに入れたり、ラップに包んで冷蔵庫で保存します。
1年は保存可能ですが、飴も長く置いておくと、風味が抜けてしまいますのでお早めに!
砂糖代わりに料理に使う
食べきれずに残っている千歳飴は、砂糖代わりに煮物に入れたり、お菓子作りに使ったりできます。
水あめと砂糖から作られたものは砂糖代わりとして使えますが、不二家のミルキーの千歳飴は、お料理には使いにくいのでご注意ください!
【砂糖代わりとして料理に使う例】
- のりの佃煮
- 様々な煮物
- 鶏の照り焼きなど照り焼きソースに
- 大学芋のあめがけ
- 生キャラメル
- プリン
- 甘い味のポップコーン
- カレーなど煮込み料理の隠し味として
- ホットミルクに入れてほんのり甘く
- コーヒーや紅茶に角砂糖代わりに
- ビーフシチュー
この他にも工夫次第で、いろいろな料理に使えます。
ぜひ、いろいろやってみてくださいね!
まとめ
千歳飴には、昔から子供の健やかな成長を願う気持ちが、たくさん込められています。
今年の七五三には是非、そんな願いに思いをはせながら、千歳飴をゆっくりと味わってみてくださいね!
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