四国の八十八カ所を巡礼するお遍路の旅。
そこでは昔から「お接待」と呼ばれるものがあります。
四国に根付いた昔ながらの心の文化「お接待」についてお伝えしていきたいと思います。
四国お遍路のお接待って何?
弘法大師(空海)が築いた、四国八十八ヶ所を巡礼するお遍路。
近年では若者や外国人が、お遍路の旅をする姿も多く見られます。
四国では「お接待」と呼ばれる文化が根付いており、お遍路さんは地元の方たちから食べ物や飲み物をふるまわれたり、無料で宿や休憩所を提供されたりする場合があります。
お接待の根底にあるのは思いやりの心で、四国の方はお遍路の過酷さを知っているため、お遍路さんに対して自然と手を差し伸べようとしてくれます。
また四国ではお遍路さんはお大師様(弘法大師)と同じであり、お大師様と共に旅をしていると考えられています。
そのため、お接待はお大師様へのお供えであり、功徳を積むことでもあります。
自分の代わりにとお参りを託され、お賽銭や現金を渡されることもあります。
たいていの札所近くには「遍路宿」と呼ばれるお遍路さん向けの比較的安い宿があります。
ここで気を付けたいのは、お接待はあくまでもお遍路さんに対して、地元の方が昔から地域に根付く思いやりの心で善意で行っているということです。
誰もが受けられる無料のサービスではありません。
最近では「ここに行けば無料で受けられる」という情報を調べて、それを目当てに行くお遍路さんもいるようです。
受けられなかったからといって不満に思うようなものではありません。
お接待は最低限のマナーと感謝の心を持って受けましょう。
また、四国では小さい頃からお遍路さんはお接待をするようにと伝えられるため、子供からも当たり前のように「頑張ってください」と応援の言葉をかけられます。
また、お遍路さんが地元の方から合掌をされる場合もあります。
特に、八十八カ所を歩いて巡る歩き遍路では、地元の人との接点が多くなるため、たびたびお接待を経験します。
その中でお遍路さんは、自然と感謝の心を持つようになります。
人と人との心を通わせることが、四国お遍路のお接待なのです。
お遍路のお接待、お礼はするの?
お接待は弘法大師へのお供えや功徳の意味も込められているため、基本的には断ることは良くないとされ、お接待を受けたらありがたくお受けするようにします。
どうしても受け取れないお接待の場合には、無理せずに気持ちだけ受け取るようにします。
お遍路の作法としてお接待を受けたら、お礼に「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と唱えて納札(おさめふだ)を相手に渡します。
納札とは、八十八ヶ所の札所で、本堂と大師堂に参拝者が納めるお札の事です。
とっさに対応できなかった場合には、最低限のマナーとして心からの感謝の気持ちを言葉で伝えましょう。
まとめ
お遍路のお接待の文化は四国に住む方の思いやりの精神から、昔から大切に受け継がれてきた文化です。
しかし、お接待に応えるお遍路さんの態度やマナーが悪ければ、お接待の文化も時代の変化と共に廃れていってしまうかもしれません。
お接待を受けた時には心からの感謝の気持ちを示し、お遍路する側も大切に次の世代へつなげていきたいですね。
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