秋になるとキノコ採りに、山に入るという人もいますよね。
うちの実家や親戚もそうでした。
大勢で山奥まで入って、ナメコなどたくさんのキノコを採って、キノコ汁にして食べたりしていました。
そんな中で起きた、母の毒キノコ事件!
毎年全国では、毒キノコによる食中毒が起きていて、その中には亡くなる方もいます。
今回は私の母の毒キノコ事件についてや、野生キノコの注意点について、お伝えしていきたいと思います。
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秋に増える食中毒、キノコに注意!
夏の気温が高く、その後に適度な降雨があり、朝晩の気温が低下してくると、たくさんのキノコが発生すると考えられています。
猛暑や台風などでキノコにとって良い条件が重なると、キノコの豊作の年になることがあります。
そうするとマツタケなどおいしい野生のキノコを求めて山に入る人も増え、それに伴って食中毒も増加します。
キノコは食べられるものとそうでないものの判別が難しいので、普通の人は自分では判断できませんよね。
でもキノコ狩りや山菜採りに豊富な経験を持つ人でさえ、毒キノコや有毒植物で食中毒を起こした例があります。
なので知識や経験の浅い人は、自分の判断だけでキノコや山菜などを採取したり食べたりすることは、絶対に避けなければなりません。
慣れた人でも常に慎重な判断を心掛け、少しでも不安が残る場合は、絶対に採取しないようにする必要があります。
名人泣かせの毒キノコ
判別が難しく、食中毒が多く発生しているきのこがいくつかあります。
その中でもクサウラベニタケは、別名「名人泣かせ」とも言われる毒キノコです。
食用のホンシメジやウラベニホテイシメジと良く似ているため、毎年誤った食中毒が後を絶ちません。
先々週の #神代植物公園 にて。クサウラベニタケのひだが、まさに名前の通りのきれいな紅色です。#深大寺 pic.twitter.com/jIbCsBcXoR
— 役に立たないきのこ (@at384) August 1, 2019
また、キノコの食中毒の約9割が、家庭で発生しています。
しかし、販売店、飲食店などで提供されたキノコによって発生した事例もみられます。
キノコの毒にあたった母の体験
私の親や親戚は、昔から山菜採りに行ったり、秋にはキノコ採りに出かける家でした。
私も小さい頃よく連れて行ってもらいました。
その中で忘れられない出来事があります。
それは私の母親が、野生キノコで食中毒を起こした毒キノコ事件です!
親戚ときのこ採りに出かける
幼稚園の年長さんの時に、早朝から親戚で大きな車に何台も乗り合いをして、大勢できのこ採りに出かけました。
小さい頃から乗り物酔いしやすかった6歳の私は、到着するまでの間も大変でした。
それほど山道の奥地へ入って行ったんです。
車をとめてからももちろん、山の奥へ奥へと歩きます。
親戚の中の何人かは、キノコに詳しい人がいるので、その人にありそうな場所を聞いたり、採れたキノコを確認しながら進んでいました。
こんなに山奥まで入るのは初めてと思う所まで行くと、野生のナメコもありました。
子供ながらに、お店でしか見たことのないなじみのナメコが、野生で生えているのを見るのは驚きでした。
みんなでたくさんのキノコを採り、お昼には山の中の広い場所まで戻りました。
そこでキノコを広げて、食べられないものが混ざっていないか、詳しい親戚が再度確認し、その場でキノコ汁を作りました。
それぞれが持参しているおにぎりや漬け物、果物などと一緒に、キノコ汁で楽しいお昼ご飯です。
みんなは美味しそうにキノコ汁を食べています。
でも私は6歳の子供でしたが、毒キノコがどうしても怖かったんです。
親戚がいる前なので、仕方なく空気を読んで、形だけ汁をわずかにすすり、終わりにしました。
キノコ汁に入れなかった残りのキノコは、山分けして各自持ち帰りました。
その日の夜ご飯は、母がキノコのお吸い物を作りました。
私は毒キノコを恐れて全く食べず、父親は晩酌するだけで食べませんでした。
食べたのは母だけ。
そしてこのお吸い物の中に入っていたきのこがなんと、毒キノコだったんです!
きのこ採りの翌朝
私が次の日の朝、目覚めると母はいませんでした。
父の話によると毒キノコで食中毒を起こし、昨夜遅くに救急車で搬送され入院したとのこと。
夜遅くに激しい嘔吐が止まらなくなったようです。
後日母から聞いた話によると、台所のシンクいっぱいに吐いたそうです。
しばらくの間、母は入院し、その間に私は幼稚園の秋の遠足がありました。
みんながお母さんの手作り弁当を食べる中、私は父が買って持たせてくれた、コンビニのおにぎりと手巻き寿司だけのお弁当でした。
幼稚園の先生が「先生、海苔巻くの得意なんだよ!」と、一生懸命さびしい思いをさせないように話しかけてくれていたのを、今でも思い出します。
ちょっぴり切ない遠足の思い出ですね。
その後母は奇跡的に回復
母はその後、奇跡的に回復し退院しました。
母はお祓い師の方に、普段からお世話になっていたのですが、後から聞いた話だと、そのお祓い師の方がだいぶ拝んでくださっていたそうです。
本当なら死んでしまうくらいの毒キノコだったようですが、ご先祖様に守られたのだと言っていました。
母自体も霊感があり、日頃から驚くような守られ方をしていましたが、まだ死ぬ時ではなかったのでしょうね。
子供が持つ毒キノコのイメージ
その後、私は保育士になりましたが、お散歩に出かけたりすると、子供たちがきのこを見つけることがあります。
子供たちも「毒キノコだから触らない方がいい!」と条件反射のようにみんな口々に言うので、私の母の毒キノコ事件について話して聞かせたことがあります。
すると、子供たちにとっては、毒キノコを実際に食べた人がいるというのはとても衝撃的なようです。
私の母は死なずに済んだという話なのに、大体その後「先生のお母さん、毒キノコ食べて死んだんでしょ!」に話がすり替わります。
いやいや、死んでないってば。笑
子供たちの中では、「毒キノコ=食べると絶対死ぬ!」なんでしょうね。
だから、小さい頃の私も、野生キノコは怖くて絶対食べられなかったのかもしれませんね。
野生キノコの注意点
キノコの見分け方としては、多くの方法が知られていますが、残念なことに多くの場合は迷信です。
これを信じて、もし毒キノコを食べてしまえば、食中毒を起こしてしまうことになります。
症状は、食べた部分の有毒成分や量などによって異なります。
主な症状としては、嘔吐・下痢・腹痛などの消化器系の障害や、瞳孔の収縮・発汗・手足のしびれ・意識の混濁などの神経系の障害などが挙げられます。
重症の場合は、脱水症状、けいれん、呼吸困難などを起こし死に至ります。
よく知られている迷信についてお伝えしていきたいと思います。
野生キノコの見分け方の間違い
以下のものは全て嘘の迷信です!
●茎が縦に裂けるキノコは食べられる?
キノコの中には縦にきれいに裂けず、裂こうとするとボロボロとなる物もありますが、多くのキノコの茎は縦に裂くことができます。
クサウラベニタケ、ニガクリタケなど、ほとんどの毒キノコの茎も縦に裂けます。
●毒キノコは派手。地味な色をしたキノコは食べられる?
生き物でもなんでも毒を持つものは真っ赤だったり、派手な色をしていることがありますね。
毒キノコも確かに、「いかにも毒!」という色のものもありますが、毒キノコのほとんどは地味な色をしています。
特に、キノコ食中毒の発生が多いクサウラベニタケ、ツキヨタケ、カキシメジなどは、地味な色でいかにもおいしそうな姿をしています。
タマゴタケのように、色が真っ赤で鮮やかでも食べられるキノコもあり、色での判断はできません。
●虫が食べるキノコは人間も食べられる?
虫やナメクジは、毒のあるドクツルタケも平気で食べます。
それによる区別はできません。
●塩漬にして水洗いすれば食べられる?
ドクツルタケなどテングタケ属の毒キノコは、塩漬けしても毒は消えません。
ほとんどの毒キノコで効果はありません。
●干して乾燥すれば食べられる?
乾燥しても毒成分は分解されません。
●ナスと一緒に料理すると毒が消えて食べられる?
ナスと一緒に料理しても、毒成分は減りません。
●カサの裏がスポンジ状(イグチ類)のキノコは食べられる?
私の小さい頃、親戚も裏を確認して判別していました。
以前は、イグチ類のキノコには毒キノコは無いと言われていましたが、現在では、ドクヤマドリなど毒キノコが見つかっています。
●油で炒めると毒が消える?
油で炒めても毒成分は減りません。
触るだけでも危険なキノコ!
カエンタケは赤やオレンジ色で、ブナやナラなどの木に、手の指が出ているかのような姿で生えます。
毒性が非常に強く、食べると死亡する危険があります。
また、触るだけでも触れた部分の皮膚が、炎症を起こすことがあります。
見つけても触らないようにしましょう。
写真は、カエンタケです。致死量は約3g、消化器系の症状から始まり、その後めまいや神経症状、肝不全等の多彩な症状が現れ、致死率も高いです。毒素はカビ毒の一種であるトリコテセン類で、皮膚刺激性もある為、触れるだけで炎症を起こします。pic.twitter.com/uaBvs8p96i
— 毒解説bot (@toxin_bot) June 16, 2020
毒キノコによる食中毒を防止するために
毒キノコの食中毒を防止するために、次のような事に注意しましょう。
・キノコ採りでは、有毒キノコが混入しないように注意する。
・食用と判断できない不確かなキノコは「採らない」「食べない」「人にあげない」
他の人からもらったものに有毒種が混じっていて、食中毒になった例もあります。
人からもらったものも、不安なときは食べない判断も大切です。
・迷信や、言い伝えは信じない。
・図鑑の写真や絵にあてはめて、自分で勝手に判断しない。
・食用のキノコでも生の状態で食べたり、一度に大量に食べると食中毒になるものがあるので注意する。
体調が悪くなったらすぐに医療機関へ
口に入れて強い苦味や舌のしびれなどを感じたら、すぐに吐き出してください。
気づかずに食べてしまい、後から体調が悪くなった時には、食べたものをすぐにできるだけ吐かせ、すぐに近くの医療機関を受診してください。
その際、料理の残りや生のキノコを持参すると、中毒種の確認と診療の判断材料になります。
種類によっては、一定の潜伏期間後に症状が現れる中毒もあります。
症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
まとめ
秋の味覚とも言えるキノコ類は、旬の時期にはとてもおいしいものです。
キノコ採りを毎年楽しみにしているという方もいますよね。
しかし、1つ間違えれば、命に関わる場合もあります。
知識や経験の浅い方は自己判断せず、ベテランの方も慎重な判断を心がけ、秋の味覚を楽しんでくださいね!
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