近年では熊が人里へおりてくることも珍しくはなくなり、住宅街にも出没してニュースになっていますね。
山菜採りに行くと「熊出没注意」の看板があって、以前は入って行けた山も、立ち入り禁止になっているところもあります。
学校の校外学習や、保育園のお散歩などができなくなったりと、集団の場にも影響が出ています。
熊の生息地や習性、その対策について、お伝えしていきたいと思います!
世界の熊は8種類
世界には、8種類の熊がいます。
・ツキノワグマ
・ハイイログマ(グリズリー)
・ホッキョクグマ(シロクマ)
・アメリカグマ(アメリカクロクマ)
・ナマケグマ
・メガネグマ
・ジャイアントパンダ
グリズリーやホッキョクグマは、日本でも有名ですね。
ジャイアントパンダもかわいらしいですが、立派なクマ科の動物です。
そのうち日本国内には、2種類の熊がいます。
北海道に生息するヒグマと、本州以南に生息するツキノワグマの2種類です。
日本には2種類の熊が生息
環境省の調査によると、北海道の約55%の地域はヒグマが、本州の約45%の地域にはツキノワグマが生息しています。
東日本では森林がおおむね連続していますが、西日本では古くから行われてきた森林開発や、戦後に進められた拡大造林がクマの生息地を分断し、個体群を孤立させたとされています。
分断された個体群は、孤立した森林に生息し、他の場所への移動ができません。
そのため生息数が減ると、回復がとても難しくなります。
また、近親交配が続くと、遺伝子の劣化が進み、絶滅してしまう可能性がより高くなります。
実際、このような理由から九州に生息していたツキノワグマは、絶滅した可能性が高いと考えられています。
そして四国も、絶滅が心配されています。
ヒグマは、現在は北海道に生息していますが、ヒグマの化石は本州でも見つかっていて、数万年前までは本州にも生息していたことがわかっています。
この時代に本州では、ヒグマとツキノワグマが同じ生息地を共有していました。
しかし、氷河期が終わり、地球が温暖になったことで本州の植生が変わると、その変化についていけなかったか、あるいはツキノワグマとの競争に敗れて、本州に生息していたヒグマは絶滅したと考えられています。
熊が人里へ出没している背景
ヒグマもツキノワグマも、縄張りについてはお互いを排除し合うような固定した縄張りは持たずに、重なり合った個々の行動圏を持っていることが明らかになっています。
ツキノワグマと比べて、ヒグマの調査例は数が少ないので、平均的な行動圏の広さについては一概には言えませんが、メスよりもオスの方が広いことが分かっています。
それまで、高速道路や大きな国道、鉄道が走る地域は、従来クマのような大型野生生物の移動はできないだろうと考えられていました。
ところが、交通量が多く大型トラックが行き交う国道でさえも、交通量が減る夜中に、人目につくことなくこっそりと移動したことがわかりました。
広範囲を移動するクマなので、その行動圏に人間の生活圏が入っていることも少なくありません。
以前は、住宅地から離れた山間部には集落があり、森林にも人の出入りが多かったので、熊は都市部に出る事はありませんでした。
集落の田畑や森林に出入りする人たちのおかげで、都市部と熊の生息地の間に境目があったのです。
しかし山間部の過疎化により、都市部と熊の生活圏の境目が薄くなってしまったのです。
熊の目撃情報が年々増えているのは、そのような背景もあります。
また、クマが都市部に現れる原因として、針葉樹の植林が進んで、ドングリがなる広葉樹(雑木林)が減ったこともあります。
それから、果樹園やキャンプの残飯などで、人間の食べ物の味を知ってしまったということもあります。
熊の習性は?
知能、学習能力が高いため、学習すると環境に柔軟に適応していきます。
また、冬眠のためにどうしてもたくさん食べる必要があるため、食べ物を求めます。
味を覚えると、その食べものに執着するため、トウキビや果樹、人の出す生ゴミなどの味を覚えると、繰り返し出没します。
視力よりも嗅覚が優れており、その嗅覚は犬と同じくらいに発達しています。
ヒグマが二本足で立っているときは、周囲の匂いや音を感じて、まわりの状況を確認しようとしている行動といわれています。
登るのが得意なので、住宅街でもフェンスによじ登る姿も目撃されています。
クマと出会って、木の上など高いところへ登っても無駄なので覚えておきましょう。
夜間のほか、日中も行動します。
近年住宅地に出没しているクマは違いますが、クマは本来は人を避ける習性があるので、藪などに隠れて行動することも多いです。
逃げるものを追いかける習性があり、時速50kmくらいで走ることができます。
クマにあったら走って逃げないと言われていますが、走っても人間では勝てません。
北海道に生息しているヒグマは、動物を襲ったりする獰猛さで知られています。
一方ツキノワグマは臆病な生き物であり、植物性の食べ物が主食になります。
ツキノワグマが人を襲って被害を与えるという場合、ほとんどは突然人間と出会ってしまったツキノワグマが、自己防衛のために襲い掛かります。
ツキノワグマもヒグマも、火は怖がりません。
キャンプ場などで火を焚いても、熊避け効果はありません。
熊が人里へ、対策は?
人里に慣れている熊は、山の熊とは違います。
山の熊は、先に人間に気付けば逃げて行きますが、人間の存在に慣れていて、人間たちのおいしい食べ物を知っている熊は、簡単に逃げたりしません。
高速道路の脇に出てくるような熊には、熊鈴などは全く効果はありません。
人に慣れているクマに対して音を立てることは、人間がいておいしい食べ物があることを知らせてしまいます。
クマが活発に動く時間帯は、早朝と夕方です。
人里に出没するクマは、人を避けるために夜活動することも多いです。
その時間帯の外出の際は、気を付けてください。
熊の生息地に入る場合は、ザックを背負っていた方が防御になります。
もし遭遇した時に、正座の状態でうつぶせになり、ザックで頭を抱えるようにして首の頸動脈とお腹を守ります。
熊撃退用のスプレーは、近くで使用した場合のみ、効果があります。
民家では、食べ物の残飯や生ゴミは、簡単に開けられないゴミ箱に入れるなどの対策をしましょう。
クマが近くに出没している墓地では、お墓参りの際に食べ物は持ち帰ります。
おいしい食べ物がある場所だと学習すると、繰り返しやってくる可能性があります。
通学路の場合は、1人では歩かず必ず集団で登下校しましょう。
電気柵も効果的です。
まとめ
今回は近年、住宅地にも出没し話題になっている熊についてお伝えしました。
ニュースや市町村の熊出没情報で、その都度チェックすることも大切です。
熊の目撃情報がある地域では、十分お気をつけください。
コメント